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全英のデータから導くプレースタイル
絶対王者ノバク・ジョコビッチの2連覇で幕を閉じた、2015年のウィンブルドン。連日、見応えのある試合が多く、寝不足な2週間を送ったテニスファンも少なくなかったのではないでしょうか?
そしてきっとトップ選手たちの試合を観る中で、いろんな感想を持ったと思います。
「あの選手はオフェンス力はピカイチなんだけど、ディフェンスが弱いんだよなぁ」
「あの選手はサーブ&ボレーばかりやっているけど、本当はもっと粘った方が強いと思うんだけどなぁ」
などなど。でもこれらは、試合を観ながら何となく感じた「イメージ」ですよね。果たして、本当にそうなのでしょうか?
今回は、今年のウィンブルドンの「データ」から導いた、各選手のプレースタイルのクラスタリングをご紹介します。
実際のデータが叩き出す答えは「イメージ通り」でしょうか?それとも意外でしょうか?
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32人の選手のスタイルを3グループに
ウィンブルドンでベスト32に進出した選手たちを、「k-means」という分析手法を用いて3グループに分けたところ、「攻撃重視タイプ(積極的に攻めていくタイプ)」「バランスタイプ(大胆さと粘り強さを兼ね備えたタイプ)」「守備重視タイプ(粘り強いタイプ)」という3つのタイプに分けることに成功しました。
データは、トーナメントの勝ち試合を利用。各選手の特徴を表す指標として、1stサービスが入った際のポイント取得率、2ndサービスが入った際のポイント取得率、ネットプレーによるポイント割合、リターン時のポイント取得率、ウィナーのポイント割合を用いました。
結果
以下のようなクラスタが得られました。
A. 攻撃重視タイプ
ロジャー・フェデラー、グリゴール・ディミトロフ、ガエル・モンフィス、イヴォ・カルロビッチ、ケビン・アンダーソン、ミロシュ・ラオニッチ、ニック・キリオス、サム・グロス、レオナルド・マイェール、
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B. バランスタイプ
リシャール・ガスケ、スタン・ワウリンカ、トーマス・ベルディヒ、ヴァセク・ポスピシル、ダビド・ゴフィン、フェルナンド・ベルダスコ、ダスティン・ブラウン、ジョー=ウィルフリード・ツォンガ、マリン・チリッチ、ジョン・イズナー、ビクトル・トロイツキ
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C. 守備重視タイプ
ノバク・ジョコビッチ、アンディ・マレー、アンドレアス・セッピ、バーナード・トミック、ジル・シモン、デニス・クドラ、ジェームス・ワード、マルコス・バグダティス、パブロ・アンドゥハル、ロベルト・バウティスタ=アグ、サンティアゴ・ヒラルド
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いかがでしょうか?
プレーを観て感じたイメージ通りでしたか?それとも、もっと攻めているイメージがあった、逆にもっと守っているイメージがあった、あの選手とあの選手が同じグループなんだ・・・などなど意外な結果もありましたか?
実際のデータを元にクラスタリングをすると、上記のような結果となるのです。
各グループの特徴
ちなみに各グループの平均的な値は、下のグラフの通り。青色が攻撃重視型、赤色がバランス型、黄色が守備重視型です。
黄色の守備重視型の選手は、一見劣っている値が多く、弱そうに見えますが、レシーブという指標に関しては、頭ひとつ抜けていることが分かります。また、2ndサーブでもきっちりポイントを取っているあたり、まさにジョコビッチやマレーのイメージに合致しますね。
ファンにとっては、テニスを楽しむための新たなエッセンスとなるよう、選手にとっては、競技力の向上に繋がる心強い仲間となるよう、HOT SHOTでは今後もデータに基づいたアプローチを取り入れていきます。